2020年に「はじめる人が走りだす場所。きわめる人がたどりつく場所。」という
キャッチフレーズを掲げて誕生した「つくばRC(ラジコン)パーク」
小さな子供からエキスパートまで、誰もが心からラジコンを楽しめる場所という、
世界でも稀な施設として多くのラジコンユーザーを惹きつけてきたが、
この2022年10月1日により高みを目指して施設全体がリニューアルされた。
一体どのようなリニューアルが行われたのか?そしてどんな未来を描いているのか?
つくばラジコンパーク所長にして、株式会社ヨコモ 執行役員の鈴木 浩氏にお話を伺いました。
※今回の取材は株式会社ヨコモ様より許諾をいただき行いました。
つくばRC(ラジコン)パーク内の写真や動画の撮影を希望される方は、
必ず施設スタッフの方に確認の上で行っていただくよう、RD2 magazineからもお願いいたします。
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まず、この「つくばRC(ラジコン)パーク」の概要についてお伺いしました。
つくばRC(ラジコン)パークは年少者向け施設の「つくばラジコンランド」と、
ホビーラジコンを中心した施設である「つくばラジコンアリーナ」の
大きく2つの施設から構成されています。
入口近くに設置されている案内図は随時更新される予定であり、
リニューアル直後ということもあり、一部が更新されていない箇所があるとのことですが、
コースについては案内図通りとのこと。
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次につくばラジコンランドについてお伺いしました。
つくばラジコンランドはレンタルラジコンだけでなく、
持ち込みラジコンも走行できるようになっており、ミニッツなどの小型ラジコンだけでなく、
1/10ツーリングカーやバギーでも走行可能とのことです。
ただし、その際にはスタッフの方が速度確認と調整を行い、コースに適した状態での走行となります。
これはコース自体が年少者や同行の親御さんが低速で走行するためのコースである為の措置であり、
本格的な走行をする場合は、ラジコンアリーナのルーキーコース利用がオススメとのことでした。
ちなみに今後、つくばラジコンランドでは教育機関と連携して、
ラジコンを使った授業などを行う予定もあるため、リニューアル作業が少々遅延しているとのこと。
こちらはリニューアル完了された際に再度訪問のうえ、レポートできればと考えております。
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続いて、施設内で最も敷地面積の大きい「つくばラジコンアリーナ」についてお話を伺ったのですが、今回の施設リニューアルに際して、ヨコモの製品ラインナップのカテゴリー整理が大きく影響しているとのことで、まずそのお話を伺いました。
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つくばラジコンアリーナ入口に併設されているショップにて、
ヨコモ製品を中心に様々なメーカーの製品が販売されていました。
その一角に今回のお話の中心となる「ヨコモ製品開発ロードマップ」が掲示されています。
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施設のキャッチフレーズである「はじめる人が走りだす場所。きわめる人がたどりつく場所。」
という文言を具現化したようなロードマップであり、
今回、ルーキー・スーパー・マスターという3段階のクラスを設定されました。
これはホビーショーの記事でも触れておりますが、初級・中級・上級のヨコモ版の名称であり、
それぞれの技量・経験に合わせた製品を提供していくということを表しているとのこと。
ちなみに、今回よりいままで「オンロード」と呼ばれているカテゴリーを
「スピード」と表現していくそうですが、これはオンロードというより
スピードと呼んだほうがより車体の特性を表しているのではないか?
という社内の意見から採用されたそうです。
そして、各カテゴリー内で用意される3段階の製品について、あくまで現時点でのお話になりますが、
ドリフトについてはルーキーとスーパーの車体は基本構造が同一のものとなっているため、
スキル向上に合わせてパーツを変更することで、ルーキーの車体を
スーパー相当にすることが可能なように設計されているとのこと。
オフロードについても同様で、今後登場する予定のルーキーオフロードから
スーパーオフロードへと同じようにパーツの交換により、
ステップしていけるようになる予定だそうです。
唯一、スピードに関しては現状のルーキースピード「GT1」が独特な形状であるため、
今後登場するスーパースピードと互換性はない予定とのことですが、
ヨコモの思想としてはルーキーからスーパーへのステップアップは、
パーツ交換で実現できるよう開発していくとのことです。
なお、この思想はそのまま本施設のリニューアルの主旨となっており、
スキルに合わせたコースを用意し、十分に練習を重ねて、
次のレベルのコースにトライする際には、パーツの交換により、
より高いレベルへとマシンもレベルアップして対応していくという構想とのことです。
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その構想の中心であり、今回のリニューアルの目玉ともいえるのが、このルーキーコースです。
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ルーキーコースはルーキードリフトとルーキースピード/オフロードの
2つのコースが用意されていました。
両コースとともにカーペット路面となっており、グリップ剤の利用は禁止となっています。
このルーキーコースについては、どちらのコースもタイヤの指定はなく、
どんなラジコンであっても走行可能ですが、あくまでルーキー向けの場所なので、
スーパーやマスターのマシンでの利用はマシンに適したコースを使用しただくよう、
利用者には案内されているとのこと。
また、スピードとバギーが同一のコースになっており、一か所段差が設置されているのですが、
これもルーキーの方がゆっくりとした速度で楽しんでいただくためにあえて設置されたとのことです。
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なお、このルーキーコースは持ち込みラジコンの走行はもちろんなのですが、
今回のリニューアルにあたり、ヨコモが自信をもって発売していく、
ルーキークラスのRTR(完成品即走行可能)モデルを、
1時間2000円でレンタルできるというサービスを始められたとのこと。
先ほどのお話であったとおり、ヨコモが用意するルーキーRTRは、
スーパークラスのマシンを、ルーキーでも扱いやすいように調整したものであり、
トイラジコンなどとは全く違い、競技用ホビーラジコンそのものの性能と言えます。
そのマシンをショップスタッフの方がメンテンスされた最良の状態で、
ルーキーコース使用料込みで1時間2000円で走行できてしまうという、
いままでにないサービスとなります。
このサービスを始められた意図をお伺いしたところ、
ラジコンカーに興味を持ったはいいが調べてみると、
本格的なものは走行できる状態にするだけで高価であるとわかると、
ラジコンカーへの興味を失ってしまうという話を多く聞いてこられたとのことで、
それであれば、手ぶらでサーキットに訪問していただいて、
2000円払うだけで本格的なマシンでサーキット走行を体験できてしまう!!
というサービスを作れば、ラジコンカーの魅力が広く伝わるのではないか?
と考えられたそうです。
そのためにはラジコンカーのレンタルだけでなく、
全くの未経験者も安心して楽しめるコースが必要ということで、
先に紹介したルーキーコースが生まれたとのこと。
このルーキーコースは入口を入ってすぐに設置されていることからも、
力の入りようがわかるというものです。
なお、このレンタルラジコンですが、未経験者だけでなく様々なレベルの方が、
手ぶらで施設を訪問して、1時間ラジコンを楽しんでいく、
というような将来像を描いておられるとのこと。
少しでも気軽にサーキットに足を運んでいただき、
気軽にラジコンを楽しいで欲しいという所長さんの熱い想いを感じました。
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ルーキーコース脇には撮影スポットとして表彰台も用意されていました。
これも気軽に楽しんでいただくための工夫とのこと。
表彰台については、つくばラジコンランドに設置していた際に大好評だったとのことで、
今回のリニューアルに際してルーキーコースの脇に設置されたとのことです。
取材日にも何名もの方がこちらで写真を撮影してらっしゃいました。
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なお、今回のリニューアルにて施設全体の内装を一新されており、
とても清潔感があり、明るい照明により薄暗い感じは一切受けませんでした。
更に全館空調完備となっており、季節問わず楽しめるのも魅力。
加えて、年齢性別問わず長時間快適に過ごしてもらうために化粧室も全面刷新されたとのこと。
家族連れやカップルでの訪問でも安心の施設になっています。
ピットスペースの椅子や机も全面刷新されており電源なども豊富に用意されておりました。
ちなみに時折話題となってしまう、バッテリーの炎上などについて伺ったところ、
事態を察知したら迅速に砂による鎮火作業が行えるようにピットスペース各所に、
鎮火対応用具が設置されているとのこと。
なお、利用者の方には必ずリポバックなどの安全対策を行っていただき、
充電の設定については慎重に対応いただきたいとのことでした。
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一番の目玉となるルーキーコースエリアの後、
スーパー・マスタークラス向けとなる、
ドリフトグランプリ・スポーツコースをご紹介いただきました。
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ドリフトコースの中で一番目を引いたのが「ドリフトジオラマコース(つくばターンパイク)」です。
かなり凝った造りになっており、ここにしかない唯一無二のコースとのことです。
これだけ手間のかかるコースをなぜ作ったのか伺ったところ、
ラジコンのあらゆるジャンルのコースを用意する総合施設として、
特長ある、ここにしかないコースというのは必要ではないか?という議論の末、設置されたとのこと。
実際、このコースを走行している様子を見ているだけでもワクワクしました。
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次にオフロードグランプリコースを案内いただきました。
コースの設定としては過渡に難しいということではなく、気軽に走行できるが、
面白さも備えたコースレイアウトにされたとのこと。
最近では復刻バギーなどで走行される利用者さんも多いとのことで、
それらのマシンの事も考慮したそうです。
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オフロードコースに限らずではありますが、各コースにて1時間の中で、
マシン別の走行時間を設定されておりました。
様々なレベルの方に楽しんでいただくための工夫とのことです。
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次にアリーナセンタービル2Fに設置された「スピードスポーツコース」を案内いただきました。
こちらもカーペット路面でグリップ剤は禁止でした。
Mシャーシや比較的低速なツーリングカーなどが多く走行してるそうです。
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スピードスポーツコースの近くの通路にマシンが展示されていました。
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今回のリニューアルで新たにオープンした飲食店がスピードスポーツコースの横にありました。
かなり本格的なラーメン店となっており、サーキット利用者はもちろん、
飲食のみでの利用も大歓迎とのこと。
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店内席のほかに通路側テラス席でも飲食可能とのこと。
家族連れでの訪問でも安心です。
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次に別棟となるスピードグランプリコースを案内いただきました。
建物の名称は今後変更されるとのこと。
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黒カーペットが特徴的でした。
なお、これはグリップ剤の利用が可能であるため、
明るい色の場合、走行ラインが残ってしまい、
レイアウト変更の際などに混乱を引き起こしやすい為、
あえて黒のカーペットを採用されているそうです。
比較的頻繁にレイアウト変更は行われているとのことで、
先日試験的にオーバルレイアウトも実施されたとのこと。
様々な楽しみ方を発掘していきたいとのことで、
今後もアッと驚くようなレイアウトが実施されるかもしれませんね。
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こちらのコースでも時間分けがされていたのですが、
先に発売されたルーキスピードGT1を想定した時間帯が設定されていました。
本格的なコースでルーキスピードマシンを楽しむという配慮もされていました。
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最後に案内いただいたのが、80年代風土コースです。
建物からは離れた場所にあるので、初めての方は見つけにくかもしれませんが、
その際はスタッフの方に尋ねてくださいとのこと。
屋外の土路面でほぼフラットなダートになっていました。
ビンテージバギーや復刻バギー、最近流行の兆しがあるラリーカーなどが最適とのこと。
なお、こちらのコースだけを利用する場合、特別価格で利用できるとのことです。
ここまでリニューアルされたつくばRC(ラジコン)パークについてお話を伺ったのですが、
今回のリニューアルにてハードウェアの刷新はほぼ完了されたとのことでした。
今後はそれを使ってどうしていくのか?というソフトの面を充実させていかれるとのことで、
すでに実施されている施策としては、開催レースすべてでジャイロの利用を解禁して、
様々なコースでのレースに気軽に参加いただけるような配慮をされていたり、
一部コースを除き指定タイヤをできるだけ少なくし、
様々な車種・タイヤで走行できるようになっていたり、
毎週日曜日にはイベントを開催して各ジャンルの魅力を伝えるべく、
様々な試行錯誤をされているとのこと。
家族連れの方やギャラリーで訪問の方も大歓迎であり、
ぜひ日曜日に一度手ぶらで訪問してみてくださいとのことでした。
「はじめる人が走りだす場所。きわめる人がたどりつく場所。」
と言うだけではなく、それを実現する場所にするべく、
これからも進化を続けていきますよ!と力強くお話されておりました。
編集後記
以前は「競技ラジコンの聖地」というようなイメージであったのが、
「老若男女が楽しめるラジコンエンターテインメント空間」に生まれ変わっていたのが、
今回一番の衝撃でした。
年少者向けにはトイラジコンやアクションラジコンのレンタルがあったり、
大人向けにも本格的な性能のラジコンカーでのレンタルサービスが開始されていたり、
カジュアルなラジコンの楽しみ方を開拓されているなと感じる反面、
ラジコンをしっかりと楽しんでいる方々にも、
気持ちよく楽しんでいただけるような配慮を欠かさない姿勢は素晴らしいの一言です。
現在のすべてのラジコンユーザー、そして未来のラジコンユーザーすべての方にとって、
最初に訪れる場所であり、いつも訪れる場所になっていくことを願うばかりです。
RD2 magazineとしても今後もつくばRC(ラジコン)パークの動向を追っていきたいと考えております。
(取材:RD2 magazine編集部 C.E 片桐紳史)