品名 | SK高弾性ラバーレジン |
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メーカー | SK本舗 |
定価 | ¥13,800(税込) |
製品詳細 | https://skhonpo.com/products/sk-hard-rubber-resin |
【プチレビュー概要】
SK本舗様が独自に開発された、光造形3Dプリンターで使用できる
高弾性ラバーレジンをレビューします。
■ゴムの様に軟質だけど、反発性のあるレジン。
ゴムの様だけど反発力の強いラバーレジン。色味は黒に近い少し透明の暗灰色。
タイヤや履帯、ゴム質なフィギュアなどを作成したい方にオススメのレジンです。
二次硬化は水中で行うことが推奨されています。
【SK高弾性ラバーレジン使用テスト】
注意:レジンはアレルギー反応を起こす原因ともなりますので、使い捨て手袋・マスクなど防護備品は予め用意し、しっかりと装着の上で作業しております。(撮影都合、一部手袋を外して撮影しております。) また、換気についても十分に対応しております。
なお、今回テストに使用した3Dモデルは、
フリー素材のR/C用タイヤモデルを使用しております。
高弾性ラバーレジンをレジンバットに注ぎます。
なお、SK本舗様より印刷成功のコツを伺っておりまして、
レジンを注ぐ前にボトルをよく振り、ボトル内をしっかり撹拌してから注ぐのがポイントとのことです。かなり粘度が高くなっておりますので、しっかり振ってから使用します。
用意したモデルを読み込み、印刷をスタートします。
今回、パラメーターはSK本舗様が案内されている数値を参考して設定しております。
印刷が完了しました。印刷物にねっとりとレジンが残っているところから、
レジンの粘度を確認いただけますね。
印刷物を取り外し、先にレビューしたSK本舗様のレジン用洗浄液で洗浄します。
この洗浄液は可燃性も低く、刺激臭ではなく石鹸の香りがほのかに香るという、
とても使いやすいもので、RD2 magazine編集部でも愛用しております。
また、少量でしっかり洗浄ができるので、
ペーパータオルなどに含ませて処分するのも手間が少ないです。
レジンバットから残ったレジンをボトルに戻す際ですが、
他のレジンと比べるとボトルの口が大きくなっています。
非常に粘度が高いため、網をかざしてバットから直接注いでも、
今回は問題なくボトルに戻すことができました。
漏斗を使う場合、このレジン用に通常のレジン用とは別に、
1つ用意しておくとよいでしょう。
プリンターのレジンが触れた部分も同じ洗浄液で洗浄します。
柔らかい刷毛を用意してゆっくりとレジンを落としていくとフィルムなどに傷がつかず、
今後の印刷でもミスが減るでしょう。
洗浄が終わったら、印刷物とプリンターパーツを水道水で流します。
すでに洗浄液でしっかりレジンは落ちてはいますが、
今回のレジンはとても粘度が高いので、水洗いの際には手袋を忘れず、
洗浄した水はバケツなどに貯めて、数日日光にさらす事をオススメします。
こうすることで水中のレジンが硬化しますので、
後日、網で濾してから下水に流すとよいでしょう。
こちらが洗浄液で洗浄後、水洗いした直後の印刷物の状態です。
写真でもゴムの質感が伝わるのではないでしょうか?
続いて二次硬化を行います。
今回、SK本舗様より二次硬化機をお借りできましたのでそちらを使用しております。
なお、二次硬化機は別途レビュー記事を予定しております。
今回のレジンは水中二次硬化を推奨と伺っておりますので、
印刷物が沈む程度の透明のケースに印刷物と水をはり、
二次硬化機で二次硬化を行いました。
この二次硬化機ですが、組み立て式で大変コンパクト。
更に自動回転テーブルも装備しており、二次硬化機を検討の方には、
オススメできる商品です。
こちらが二次硬化が終わったものです。
製品説明にあるとおり、水中二次硬化を行うことで、
べたつきもなく、まさにゴムという感触になりました。
続いて、ベース部とサポートを切り離していきます。
切り離した印刷物を両面で撮影しておりますが、サポートがついていた側には、
少々サポート残りが見えますが、いくつも試作してみた筆者の印象としましては、
スライサーでのサポートの付け方がこのレジンで最大の考慮ポイントと言えます。
サポートと本体の接合面積が小さすぎると、重みに耐えられず失敗してしまいます。
印刷物や機種、パラメーター設定により最適解は異なりますので、
トライ&エラーでちょうどよいところを探してみてください。
印刷が終わり二次硬化後の弾力を撮影してみております。
かなりしっかりとした手ごたえがあります。
RD2 magazineプチレビュー: SK本舗 SK高弾性ラバーレジン
以下レビューは購入者の参考として、5点を標準評価とした
10点満点での採点をしております。
なお、本レビューはあくまでレビュワーの感性に基づいた評価ですので
目安としてご覧ください。
■扱いやすさ 5点
通常のレジンと比べ、とても粘性が高いです。
注ぐときや、レジンバットからボトルも戻す際にも、
ゆっくりと作業する必要があります。
もちろん、出力されるものが高弾性なので致し方ないところですが、
光造形の3Dプリントが初めてという方や、経験が少ない方には少々扱いが難しいかもしれません。
逆にそれなりに経験がある方であれば、問題なく扱えるでしょう。
ボトルが大口径になっていたりと、レジンの特性に合わせた工夫もされており、
他レジンと大差ない扱いやすさと言えます。
なお、印刷するモデルについて、厚みが薄いモデルであったり、
事前にしっかり攪拌していなかったり、
印刷パラメーターが適切でないと印刷の一部が薄くなってしまう現象が起こります。
レビュー時も複数の印刷物をテスト印刷いたしましたが、
設定が適切でない場合には、薄い部分ができてしまったりサポートが細かったすることで、
印刷途中で落下して印刷が失敗してしまうことを確認しております。
このあたりはトライ&エラーしていくしかないのですが、
最初はなるべくサポートが必要ない印刷物からはじめていくことをオススメいたします。
■安全性 5点
光造形で使用されるレジンという意味で、特別変わったところはありません。
1点注意が必要だとすれば、非常に粘度が高いため洗浄の際、
通常のレジンよりもしっかりと洗浄する必要があるという点だけです。
なお、洗浄に関してはSK本舗様から安全性の高く高い洗浄力を持つ、
洗浄液が発売されており、手袋やマスクなどの基本的対策を行うことで、
一般のご家庭でも印刷を行える環境が整ってきたと言えます。
■匂い 9点
レジンそのものの刺激臭がほぼないため、印刷中もキチンと換気を行うことで、
匂いが気なるということはありませんでした。
■コストパフォーマンス 7点
定価で見るとかなり高価に見えますが、高弾性のゴム印刷物が印刷できるという、
他にない特徴を持っており、現状は唯一無二の商品となります。
ラジコンユーザーには小さなブッシュやクッション材の作成に使用できますし、
モデリングをしっかりすれば、オリジナルタイヤを作成することもできます。
非常に可能性を秘めたレジンと言えます。
■総評 8点
高弾性ゴムの印刷物を家庭用の3Dプリンターで印刷できる、
現時点で唯一のレジンとなります。
可動部に使用する部品の試作や、オリジナルゴム部品の作成、
弾性のあるフィギアなど、いままで実現できなかった3Dプリントを
楽しむことができる点が本製品の最大の特長です。
非常に大きな魅力を持っている製品ではあるのですが、モデル作成にコツが必要だったり、
印刷パラメーターに微調整が必要であるなど、3Dプリンターの扱いに慣れている
ユーザーでないと印刷を失敗しやすいのは事実です。
これから始める方はまず通常のレジンで3Dプリントについて経験を積んだうえで、
本製品にトライされることをオススメします。
なお、通常レジンでの印刷経験がそれなりにある方であれば、
数回の試作で特性を掴むことができるでしょう。
少々経験とコツが必要ではありますが、通常の印刷ではできない、
新しいアイデアを実現する可能性を評価しまして、
総評は8点とさせていただきました。
■オススメユーザー
- 通常レジンの取り扱いに慣れている3Dプリント中級者以上の方
- 弾性のある部品を作成したい3Dプリント中級者以上の方
- 柔らかいフィギアを作ってみたい3Dプリント中級者以上の方
今回のレビュワー
里見 晶子 – Shoko Satomi(RD2 magazine編集部)
RD2 magazine編集部の紅一点。
ラジコンはトイラジコンやクローラーなどをゆったり楽しむ。
自称操作は下手でも組み立ては大好きとのこと。
最近3Dプリンターをレビューしてから、モデル作りが趣味になりつつある。