Interviewing and writing : chief-editor Shinji Katagiri
ラジコンに関する疑問を詳しい方に聞いてみる「いろんな人にラジコンについて聞いてみた!」
第二回は「サーボについてメーカーさん・代理店さんに聞いてみた」
第一回では未経験者や入門者がとにかく最初に戸惑ってしまうラジコンのバッテリーについて、
日本国内でバッテリーの販売をされているメーカーさんや代理店さんに聞いてみましたが、
第二回はバッテリーに続いて戸惑いを生むサーボについて伺いました。
今回は近藤科学株式会社様、株式会社ジーフォース様、株式会社セキド様、
株式会社 Hitec Multiplex Japan, Inc.様にご協力いただき、
現在のラジコンで利用されるサーボについての疑問にご回答いただきました。
各社様ご協力ありがとうございました。
当連載ではラジコン関連機器の正しい取り扱いをこれから始めるユーザーに伝えるとともに、
既に取り組んでいらっしゃるユーザーにも今一度、
安全な取り扱いについて再認識いただければと考えております。
サーボモーターの基礎知識
ラジコンで用いられるサーボと呼ばれる装置は
「サーボモーターを用いた制御装置」のことを指します。
今回の解説セクションについては「fabcross for エンジニア」様の
Webサイトの以下記事を引用する形で解説させていただきます。
記事は工業製品としてのサーボモーターの解説となりますが、
ラジコン用の小型サーボについても該当する部分が多いため、
細かなお話にご興味がありましたら、
ぜひご一読いただくことをオススメいたします。
サーボモーターとは? 原理や構造、種類について紹介
fabcross for エンジニアサイトより(2022/7/4時点)
サーボモーターとは?
サーボモーターとは、指示を出した通りに、
fabcross for エンジニアサイトより(2022/7/4時点)
位置/速度/回転力(トルク)などを正確に実現する
サーボ機構に使用されるモーターのことです。
現在の電動ラジコンカーにおいては主にステアリング部分で利用されます。
プロポ(送信機)から指示した動作内容を正確に再現する装置となります。
ちなみに、エンジンラジコンカーや飛行機、エアプレーンなどの場合は
複数のサーボが様々な役割を担うため、
送信機(プロポ)が複数のチャンネルを制御できるようになっていきます。
(スロットルや尾翼の調整など)
サーボモーターの原理
サーボモーターは、モーターに加えて、
コントローラー、ドライバー、エンコーダ(回転検出器)で構成されます。プログラムに従ってコントローラーがドライバーに指示を出し、
その指示通りにドライバーがモーターを動かします。
その後、モーターの動作状況をエンコーダが検出して、
情報をドライバー経由でコントローラーに送ります。
この動作状況が、指示した通りであるのかを確認し、
誤差が生じているようであれば、
再びコントローラーからドライバーを経てモーターに対して
制御命令が出される仕組みとなっています。この一連の動作が、目標とする動作に一致するまで繰り返されるため、
fabcross for エンジニアサイトより(2022/7/4時点)
精度の高い制御が実現できるのです。
ホビーラジコン用途で目にするサーボは非常に小さな見た目ですが、
実は上記のとおりモーターだけでなく、コントローラーやドライバー、エンコーダー、
さらに駆動用のギアのような複数の回路や装置が組み込まれた精密機器なのです。
半導体や加工技術の進化により各回路・装置の性能が向上し、
より緻密により高速で正確な動作が可能となってきたのです。
サーボモーターの種類
サーボモーターは、DC(直流)で駆動するDCサーボモーターと、
fabcross for エンジニアサイトより(2022/7/4時点)
AC(交流)で駆動するACサーボモーターに大別できます。
DCサーボモーターは、制御するのが比較的容易で、コンパクトな形状なのが特徴です。
初めはDCサーボモーターしか使われていませんでしたが、各種技術が発展したことによって、
ACサーボモーターも製品化されました。
ACサーボモーターは、DCサーボモーターよりも高度な制御が必要になり、構造自体も複雑です。
しかし、巻線を高密度化したり絶縁する技術などの進歩によって、
現在はACサーボモーターがサーボモーターの主流となっています。
小型化も可能となり、数多くの分野で使用されるようになりました。
ホビーラジコン分野では旧来DCモーターが用いられてきましたが、
昨今ではブラシレス化などによりACモーターが主流になってきました。
このあたりは工業製品と同様の流れとなっています。
まとめ
ここまでお話したとおり、リモートコントロール(R/C)の分野においては、
プロポ(送信機)での操作指示を実際の動作に変えて実行する大変重要な機器です。
それだけに多くの回路や装置の組み合わせで機能が実現されており、
いわゆる精密機器にあたるものであることを再認識いただければと考えます。
精密機器ですので、当然雑な扱いをすれば故障しやすい装置になります。
実際の駆動を実現するギア類もとても細かく薄くと高度な加工が施されており、
大きな衝撃で破損をするというのは至極当然のことです。
サーボについて正しい認識を持ち、また正しい取り扱いをすることが、
長く性能を維持することに対する最も大切なポイントなのです。
ラジコンのサーボについての素朴な疑問に答えてもらった!
ここからはインターネットでよく見られるユーザーの素朴な疑問に
各メーカー・代理店様にお答えいただいたものを掲載いたします。
なお、各コメントはRD2 magazineーラジコン通信の依頼に個別に回答いただいたものであり、
お問い合わせがある場合は当サイトまでご連絡いただき、
各メーカー様個別のお問い合わせはお控えください。
サーボにはたくさんの電流を流したほうがいいので、ESC経由ではなくバッテリー直結するのがよい
弊社の電動カー用サーボに関しましては基本ESC経由の状態でテストし、
開発しておりますので、バッテリーに直結する必要はございません。
直結は逆にオーバースペックになり本来の性能にはならないかと思います。
電流は必要な時に必要な量を供給してあげることが第一です。
バッテリーに直結すると負荷によってサーボへの供給電圧が大きく上下するため
サーボのフィーリングが不安定になります。ESC経由で接続してください。
サーボには対応できる電圧の範囲が決まっており、専用コネクターが装着されている為バッテリー直結は推奨していません。
付属のコードを受信機に接続し、適正電圧でご利用頂きます様宜しくお願いします。
対応範囲外の電圧で使用した場合、
発熱や破損の恐れが有り危険ですのでご遠慮ください。
その通りです。
しかしながら別電源方式はエンジンカーを除いて実用的ではありません。
ESCのBEC電流値(サーボ受信機用電源容量)が高いものを選ぶことをおすすめします。
サーボホーンは直結が一番性能が発揮できるからサーボセイバーは必要ない
サーボセイバーなしの方が逃げが無いので性能は一番発揮されますが、
衝撃が加わった時に壊れるリスクも高くなります。
エキスパート向けになるので運転に自信のない方はセイバー付きをお勧めします。
サーボセイバーはその名のとおりサーボを守るものです。
過負荷時に力を逃す役目をするので結果的にはシャーシも守っています。
直結だとレスポンスは上がりますが、
クラッシュやコースアウトでサーボ・シャーシが壊れるリスクが大幅に上がります。そういったリスクを理解したうえで直結にするか
サーボセイバーを使うかを決めてください。
サーボセイバーの有無はお好みによっても異なり、
セイバー自体の装着が不可のマシン等も存在します。
レスポンスを高め俊敏な反応を求める場合は、
サーボセイバーは使用せずダイレクトを推奨しますが、
不意なクラッシュ等があった場合、
衝撃がダイレクトにサーボに伝わる為、破損の危険性も高まってしまいます。
レスポンス及び耐久性のどちらを優先するか判断し、
セイバーの使用可否を判断しましょう。
サーボセイバーはサーボのギアを守る為に装着しまします。
サーボセイバーを使用すると、トルクの立ち上がりが
スプリングによってセーブされてしまいます。
強力なギア材質であれば使用しないのも選択肢の一つで、
サーボの性能がダイレクトにシャーシに反映されます。
サーボはスペック値が高いほど性能がよいのでタイムが上がる
オーバースペックは逆にタイムが落ちます。
サーボのスペックが上がったからといって即タイムが良くなることはありません。
クルマのセッティングに自分自身の好みなど、
タイムにはフィーリングの方が直結しやすくなります。
購入時の目安にスペックは重要ですが、
フィーリングにも注目してみるといいでしょう。
そうとも言い切れません。
スピードが速すぎる場合はマシンの動きがシャープになりすぎてしまい、
少しの指の動きに過剰に反応してしまい
安定性が欠ける原因となってしまう事も有りますので、
マシンやドライバーに合った適度なスペックが必要です。
トルクに関しても、あまりに強すぎると
コーナリング中に保持力が強すぎてしまい、
鋭角なコーナリングとなって失速に繋がってしまいます。
こちらもマシンのサイズや重量、路面グリップ、ドライバーの好みに合った
オールマイティーなスペックを選択する事を推奨しています。
一概にそうとは言えず、ドライバーの技量にも影響されます。
サーボの性能が高すぎると路面とタイヤのグリップを失ってしまうからです。
ハイパワーモーターと同じく上手くコントロールできるかが重要となります。
サーボのレスポンスは高ければ高いほどよいので、プロポメーカーのもの以外を使うと遅くなる
一つ前の質問と同じで高ければ良いというものでもありません。
シチュエーションによってベストな状態は変わってきます。
プロポと同じメーカーのサーボを使うのが「BEST」だとすれば、
異なるメーカーのサーボを遣うのは「BETTER」であって、悪いわけではありません。用途と好み、予算に合わせて好きな物を選んで問題ありません。
一つ前の質問の回答に準じて選択する事をご推奨しております。
SAVOX製送信機はラインナップに御座いませんので、
各送信機メーカー様の機能に準じて性能を発揮します。
スピードは送信機の各モード等によって異なりますので、
一概に遅くなるという回答は致しかねます。
超レース志向の過剰なハイレスポンスは通常の感覚外になります。
純正以外のものでも充分レスポンスアップは体感できます。
安いサーボは使い物にならないから高いものを買ったほうがいい
安いサーボでもよいものは沢山あります。
何をもって使いものにならないと判断するかによると思います。
ツーリングカーでは厳しくてもクローラーでは十分に使える、
というような例もあります。
安くても不満が出なければ本人にとってはいいサーボでしょうし、
一概に値段だけでは言い切れません。
価格に比例して耐久性、スピード、トルク、ケース等の性能が向上する傾向に御座いますが、高価であれば良いという事では有りません。
「サーボはスペック値が高いほど性能がよいのでタイムが上がる」の回答に準じてご予算、状況に合ったサーボをご選択頂く事をご推奨しております。
世界的に実績あるHitecの製品は品質管理が徹底していますので低価格製品でも問題ありません。
海外製のサーボは修理が難しいから国産を選ぶべき
修理は難しいかもしれませんが、値段が安かったりと、メリットもあるかと思います。考え方は人それぞれかと思います。
メーカーでもショップでも構わないので、
何かあった時に頼れる窓口のあるモノを選んだほうがいいと思います。
サーボはデリケートで、ギヤ欠けなどを起こすこともあります。
その時に相談できる先があるのは安心ですし、自身の知識の蓄積にもなります。
SAVOX製サーボは台湾製となりますが、御購入後365日の保証期間及びスペアパーツを取り扱っておりますので、状況に応じ修理が可能となります。
そのメーカーのサポート体制次第です。正規日本代理店があるメーカーであればサポートに問題ないでしょう。
サーボ選びのアドバイスをもらった!
ご協力いただいた各社様に「サーボ選び全般」「入門者向け」「レースユーザー向け」
「パーキングや広場ユーザー向け」のアドバイスをいただきました!
サーボ選びはどんなことに気をつけて選べばよいでしょうか?
多くの種類やスペックが存在するサーボは、走行する上で非常に重要な役割を担う機材になります。
ここまで回答いたしましたとおり、高価でハイスペックな物であれば良いという訳では無いのもポイントの一つです。
使用するマシンや環境に合わせて、お選び頂く事を推奨させて頂きます。
SAVOXサーボのご選択でお悩みの場合や、ご利用車種にどのようなサーボを装着して良いかご不明な点がある場合は、お気軽に弊社へお問合せください。
世界的に実績あるメーカーから選びましょう。
価格に惑わされずに選ぶ事で結果的に良い買い物となります。
これから手に取る方(入門者)はどんなサーボを選べばよいでしょうか?
先ずはこの辺りを試してみてください。
https://www.kopropo.co.jp/products/pcat2/20
安くても十分な性能を発揮してくれますので、
ラジコン始めるユーザーにはもってこいかと思います。
リーズナブル且つ幅広いカテゴリーに使用できる人気No.1のコチラがオススメです!
SAVOX SC-1251MG PLUS 最高品質・高速・コアレス デジタルサーボ
https://sekido-rc.com/?pid=167670909
レースユーザーにはどんなサーボがオススメでしょうか?
電動カーユーザーならこれを買っておけば間違いありません。
https://www.kopropo.co.jp/products/view/30216
世界戦まで通用するサーボです。
サーボはスペックと値段が全てではありません。
自分のドライビングスタイルとクルマとのマッチングの方がより重要です。
モーター交換のように直接的にスピードが変わるわけではありませんが、
サーボの交換はクルマの動きを激変させます。
セッティングに煮詰まったらサーボを替えてみるのも手かもしれませんね。
他の人が使っているサーボで興味がでたものを使ってみるのもよいのではないでしょうか?ご自身のマシンにスペックが合えば積極的に色々なサーボを試してみると色々な発見があると思います。
パーキングや広場で楽しむにはどんなサーボがオススメでしょうか?
オールマイティーに使えるこのサーボがお勧め!
https://www.kopropo.co.jp/products/view/30137
入門者向けサーボと同じく、手軽な環境でラジコンを楽しみたい方には、
リーズナブル且つ幅広いカテゴリーに使用できる人気No.1のコチラがオススメです!
SAVOX SC-1251MG PLUS 最高品質・高速・コアレス デジタルサーボ
https://sekido-rc.com/?pid=167670909
ラフな扱いでも全く問題ないIP67(完全防水)サーボがお勧めです。
各社様のご紹介と取り扱い製品
近藤科学株式会社(KO PROPO)様
製品一覧:https://www.kopropo.co.jp/products/pcat1/3
製品の特長について
ビギナーからエキスパートまで、誰もが運転しやすいような味付けにこだわったサーボを作っています。
新製品やイチオシの製品
今回ホビーショーにて発表の新製品です。
https://www.kopropo.co.jp/products/view/30222
株式会社ジーフォース様
製品一覧:http://www.gforce-hobby.jp/products/index.html
製品の特長について
手頃な価格でワンランク上の性能を実感できるハイスペックサーボをご用意してまいります。入門プロポセットについてくるサーボや、RTRモデルに付属のサーボからのステップアップに最適なサーボを発売しました。
新製品やイチオシの製品
発売されたばかりのG-FORCE初のサーボGDS-0812。
手頃な価格ながらレジェンド広阪正美がチューニングを担当した贅沢仕様です。
どんなカテゴリー・ジャンルにもオールマイティに使えます。
株式会社セキド様
製品一覧:https://sekido-rc.com/?mode=grp&gid=1965502
製品の特長について
リーズナブルかつ耐久性に優れた多種多様なサーボをラインナップとしており、EP/GPオンロード、オフロード、ドリフト、クローラー、飛行機、ヘリコプターに対応するスタンダード、ロープロ、ミニサイズ等が御座います。
各種スペアギヤやケースも在庫しており、万が一の破損にも対応しています。
新製品やイチオシの製品
SAVOX人気No.1サーボは「SC-1251MG PLUS 最高品質・高速・コアレス デジタルサーボ」となります。
人気のロープロサイズでリーズナブル且つ、アルミヒートシンク仕様、金属ギヤを装備しており、エントリーユーザーから上級者までご利用頂けるスペックのサーボになっています。
今年マイナーチェンジされ、デザインやパッケージも一新されています。
株式会社Hitec Multiplex Japan, Inc.様
製品一覧:https://hitecrcd.co.jp/products/hitec/hitecservo/
製品の特長について
ハイテックはホビー向けのサーボでは世界 NO,1シェアです。産業向けのサーボ製品も生産しています。RCカーでよく使用されるスタンダードサイズだけでなく、様々なサイズのサードを用意しています。特に防水サーボに関しては、他に先駆けて製品化したことにより世界的な定評があります。
ハイテックは海外メーカーであるため、日本で主流となっているRCカー用のサーボとは製品ラインナップと異なっているように見えると思います。また、ラジコン飛行機・ラジコンボート・ロボットに使用するためのラインナップもご用意しているので非常に種類が多いのが特徴です。モーターではコアレスモーターを使用した反応の良いものやブラシレスモーターを使用したものがあり、ギアの材質ではカーボナイト・スティール・チタニウムなどさまざまな選択肢があります。同系統のラインナップでも、スピード重視・ニュートラル・トルク重視と大まかに 3種類から選ぶことが出来ます。
現在のハイテックの主力商品は “Dシリーズ”と呼ばれるデジタルサーボで高分解能でレスポンス・フィーリングの優れた物です。
新製品やイチオシの製品
ロープロサーボのDB777WPです。
スタンダードサイズでは、D941TWをお勧めします。
低価格商品では、D485HWがお勧めです。
編集後記
第二回「いろんな人にラジコンについて聞いてみた!」いかがでしたでしょうか?
初回に続き、未経験者の方や入門者の方が特に戸惑われるサーボについて取り上げました。
コロナ禍にも関わらず取材にご協力いただけました各社様に感謝申し上げます。
ラジコントロールにて物体を操作するというラジコン分野において、
非常に重要な役割を担っているサーボですが、
前回のバッテリー同様、仕組みや正しい利用方法、
目的に合った選び方というがなかなか明確になっていないことは、
キャリア問わず感じておられるところではないでしょうか?
今回、サーボを販売される各社様より貴重なご意見をいただけましたことが、
今後の皆様のサーボ選びや利用方法の参考になれば幸いです。
なお、特にレースユーザーにおいては、
サーボをはじめとするメカ類のセッティングの重要性がささやかれるようになっており、
近々RD2 magazineでも特集を考えております。ぜひお楽しみに。
また、本企画で取り上げほしい話題や質問などありましたら、
RD2 magazineーラジコン通信の問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。
今後の参考とさせていただきます。
最後に今回ご協力いただきました各社様のサーボは、
RD2 magazineオフィシャルオンラインショップである
「WarehouseSTORE RD2」でも販売しております。
ぜひご覧ください。