品名 | HALOT-ONE |
発売元 | 株式会社サンステラ(メーカー:CREALITY) |
販売価格 | ¥39,600(税込) ※2022年7月5日時点 |
製品ページ | https://www.creality-3d.jp/shopdetail/000000000014 |
【製品概要】
株式会社サンステラ様が日本正規代理店として販売するCREALITY社製光造形3Dプリンター「HALOT-ONE」
120Wのスーパースポットライトを搭載した新しい光源構造を採用し、
自社開発の次世代マザーボードには、強力な演算能力とデータ処理能力を誇るARMCortex™-M4プロセッサを搭載。
またWi-Fi接続機能を搭載し、OATオンラインアップグレードサービスにより継続的に新機能の導入が行える。
造形方式:SLA/LCD(Liquid Crystal Display)
波長:405 nm
積層ピッチ:0.01 – 0.2 mm
造形サイズ:127 x 80 x 160 mm
本体サイズ:230 x 230 x 415 mm
本体重量:7.5kg
プリント速度:1-4s/layer
XY軸精度:0.05mm
LCD解像度:2560 x 1620
対応レジン:405nm対応の紫外線硬化レジン、リジッドレジン、歯科用レジンなど
操作パネル:5インチフルカラータッチスクリーン
外部インターフェース:USB
言語:英語/中国語 ※日本語に対応していません
電源:110-240Vパッケージサイズ:295 x 295 x 545 mm
パッケージ重量:10.0kg
【導入準備】
※今回、特別に市販前のバージョンを提供いただきましたので現在の製品版と一部異なる場合がございます。
到着時の箱はそれほど大きいものではなく、取り出すのも比較的容易です。
箱の上部の発泡スチロールの緩衝材内に蓋をされる形でプリントプラットフォームが格納されています。
一瞬見逃しそうになるところなので取り出し時には注意が必要です。
付属品もひとまとまりになっています。
本体はしっかりと梱包されており安心感があります。
丁寧に開封していけばトラブルはないでしょう。
ケース上面にQRコードが添付されています。
付属品は取扱説明書(英語・中国語)・六角レンチ・電源ケーブル・プリントプラットフォーム・リリースフィルム(交換用)・金属製ヘラ・レジンバッド・紙製漏斗(4枚)・USBメモリ
開封が終わりましたら設置します。
組み立てについては最低限になりますが、マニュアルが英語と中国語なため戸惑う方もいらっしゃるかもしれませんが、メーカーであるCREALITY社が導入手順を動画で紹介されています。
説明は英語ですが非常に丁寧に開封からレベリング作業まで動作が確認できますので、まずこちらをご覧いただくことをオススメします。
3Dプリンターが初体験のレビュワーでもセットアップからレベリング作業まで戸惑うことなく作業ができました。
【印刷テスト】
注意:光造形機はレジンを使用します。レジンはアレルギー反応を起こす原因ともなりますので、使い捨て手袋・マスク・ゴーグルなど防護備品は予め用意し、しっかりと装着の上で作業しております。
また、換気についても十分に対応しております。
3Dデータは今回Autodesk社のFusion360にて独自に作成いたしました。
RD2 magazineーラジコン通信のロゴを印刷してみます。
印刷データを作成するのに必要なスライサーソフトウェアは標準の「HALOT BOX」を使用いたしました。
なお、スライサーソフトウェアについては株式会社サンステラ様が以下の記事で詳細を説明されておりますので、
まずご一読ください。
HALOTシリーズのスライサーについて
https://www.creality-3d.jp/html/page5.html
レジンをセットしてカバーを装着。
今回は付属のUSBにスライサーから出力されたデータを保存し、本体へ読み込ませました。
本体の造形設定は標準のままです。印刷物のイメージが表示されて、時間は約1時間。
1時間が経過すると印刷が完了。
しっかりと装備をして印刷物をはがし、洗浄を行いました。
※今回は無水エタノールにて洗浄。
最後にUVランプで2次硬化を行い。印刷は完了です。
未経験者ばかりのRD2 magazine編集部でも試行錯誤してなんとか形になりました。
平板形状だったので歪みが見えますが、このあたりは色々と作りながら学ぶところと認識しております。
ちなみに印刷クオリティーは文字の細かい部分などが綺麗に印刷されています。
本機の実力を垣間見ることができました。
RD2 magazineレビュー: HALOT-ONE
なお、以下レビューは購入者の参考として、5点を標準評価とした10点満点での採点をしております。
あくまで3Dプリンター未経験者であるレビュワーの感性に基づいた評価ですので、目安としてご覧ください。
■導入設置 10点
開封後、最低限の組み立て作業ですぐに印刷準備が整うため、未経験者であっても戸惑うことはないでしょう。
ハードウェアとしてとてもしっかりした造りでもあり、またコンパクトなサイズなので設置に困ることはないでしょう。
■初期設定 8点
導入準備で紹介したスタートアップ動画に従って作業をしていけば問題になる箇所は皆無ではあるのですが、
マニュアル(と本体)が英語と中国語のみの対応なため戸惑う方がいるかもしれないことを考慮して8点とさせていただきました。
しかし、スマートフォンの画像翻訳ソフトウェアなどを利用してメニューを理解してしまえば利用に関しては問題ないと考えられます。
また、WIFI接続によるファームウェアの自動アップデート機能も搭載しており手間なく安心して利用できるのもポイントです。
■印刷品質 10点
光造形機の特徴して積層ピッチが細かく設定できるという点が聞かれますが、未経験者のレビュワーが初期設定の状態で標準のスライサーソフトウェアでデータを作成して印刷したものは非常に高クオリティーなものでした。
(サポート機能はスライサーの自動サポート作成機能を利用いたしました)
作成可能サイズはFDM機などに比べると小さいように感じますが、細かな線までもキッチリと印刷できる完成品質はとても高いと感じました。
■手軽さ 5点
レンジを利用するという光造形機であるがゆえに、印刷は換気がしっかりできる場所が必須となります。
カバーがあるためレジンの匂いはかなり抑えらていますが常時換気が行える環境は必須条件となります。
また、印刷や洗浄、二次硬化などの作業時間もそれなりに必要となります。
そして印刷終了後、今回サンステラ様から提供いただいたレジンについてはIPA(イソプロピルアルコール)や無水エタノールでの洗浄が必要となります。
レジンを扱う際には手袋とマスクなどの着用は必須となり、また、洗浄時に利用する液体はどちらも可燃性が高く、しっかりとした換気環境や適切な取り扱い(利用ならびに保存)が必要となります。
なお、サンステラ様からは水道水で洗浄ができる水洗いレジンも販売されております。
https://www.creality-3d.jp/shopdetail/000000000086/
洗浄については一般家庭でも扱えるレベルまで難易度が下がるとは考えられますが、そもそもレジンの取り扱いは注意が必要なため、適切な知識の取得と正しい作業手順を踏むことが必須である言えます。
なお、正しく準備をして作業をすればトラブルは回避できます。
また、消耗品であるフィルムは1枚予備で添付されており、取替えについての手順は取扱説明書に記載がありますが、未経験者には難易度が少し高めに感じました。
注意すべきことや知識を学ぶ必要があることも考慮いたしまして、標準点の5点といたしました。
■コストパフォーマンス 6点
高品質な印刷が可能な光造形機が3万円強で手に入るというのはとても魅力的であると言えます。
実際、導入設置からデータの準備、印刷、洗浄から片付けまで注意点はあれども、とても簡易な手順で実行できます。
ハードウェアもとても静かでしっかりした造りであり、印刷時のカバーもアクリル製のしっかりしたものが付属しているため所有感はとても高いです。
光造形機に興味があるが高級機は手が出ないという方にはぜひオススメできる製品です。
ただし、印刷コストという点では使用する備品や洗浄関連コストなども含めますとFDM機に比べてコストパフォーマンスは低めともいえるため、総合で6点とさせていただきました。
■ラジコンユーザーとして 7点
ラジコンユーザーとして本機を使ってみた感想としては、印刷品質についてはかなり魅力がありますが、
同じものをいくつか作成するという場合にはFDM機に劣るように感じました。
1つ印刷が終わるごとにレジンの洗浄や二次硬化というプロセスが入るため、簡単なものを複数という場合やサイズが大きいものを複数作成するという場合には向いていないと言えます。
逆にしっかりした精度のパーツを少数試作するという場合であれば高精度な印刷が可能である本機はかなり魅力的なものになります。
どういうパーツを作成したいか?によっての選択肢の一つとしてはとても魅力的な製品です。
■総評 8点
しっかりとして造りのハードウェアであり印刷品質も高く、コンパクトで設定場所にも困らない。
導入手順もシンプルで日本でのサポートは正規代理店の株式会社サンステラ様がしっかりと対応いただけます。
今回、未経験者ばかりのRD2 magazine編集部で使ってみてもとても使いやすく、色々なものを作りたくなるワクワク感がありました。
一方、インターフェイスやマニュアルなどが英語と中国語のみであること、作業環境を選び、レジンや洗浄剤の取り扱いに一定の注意が必要なことを考慮すると、ある程度知識をもったユーザーでないと失敗や危険な状況を生み出す可能性はあると考えます。
また、すでに経験がある方にとっては定番のスライサーソフトウェアが利用できない点は気になるところかもしれません。この点については印刷テストの項目でご紹介したサンステラ様の記事にて解説されておりますので、気になる方はぜひご一読ください。
総合すると手軽な価格で手に入り、高品質な印刷が可能な光造形機の入門としては有力な選択肢になると言えます。
ラジコンユーザーにとっても目的次第とはなりますが、導入を検討してもよいオススメの製品です。
最後に大前提として3Dデータが必須であることは言うまでもないのですが、自身で作成するだけでなく他所に依頼したものやフリーで配布されているものを印刷する楽しみもあることを最後に付け加えておきます。
■オススメユーザー
- 精度の高い光造形3Dプリンターを手軽な価格で手に入れたい方
- ラジコン用に自分で使うオリジナルパーツを作ってみたい方
- FDM機ユーザーで光造形機に興味がある方
今回のレビュワー
里見 晶子 – Shoko Satomi(RD2 magazine編集部)
RD2 magazine編集部の紅一点。
ラジコンはトイラジコンやクローラーなどをゆったり楽しむ。
自称操作は下手でも組み立ては大好きとのこと。